TECHNOLOGY テクノロジー/CdTe放射線検出素子について

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CdTe放射線検出素子について

CdTe(カドミウムテルライド、カドテル)は、カドミウム(Cd)とテルル(Te)でできている化合物半導体です。電気抵抗が非常に大きいCdTe結晶の両側に電極をつけて、これにバイアス電圧をかけておきます。

放射線が照射されていない状態では、ほとんど電流が流れません。しかし、X線やガンマ線などの放射線がCdTe結晶に照射されると、放射線がCdTe結晶に吸収されて、電子と正孔のペアが結晶の中に生成されます。バイアス電圧の印加で結晶内には電界が生じていますから、生じた電子はプラスの電極側に、正孔はマイナスの電極側に引き寄せられます。

このようにしてCdTe結晶に吸収された放射線を、電気信号としてとらえることができます。これが、CdTe放射線検出素子の動作原理です。

CdTe放射線検出素子について

高検出感度

X線やガンマ線などの放射線を検出するためには、照射された放射線が結晶に吸収されて、電子正孔対が発生することが必要です。

放射線が結晶に吸収されることなく、透過してしまうと放射線の検出はできません。そのため、放射線検出素子は放射線を吸収する能力の高い材料でできていることが重要になります。

この放射線を吸収する力は、原子番号が大きい材料ほど大きくなります。X線を遮蔽するために、原子番号が82の鉛を使用するのはこのためです。

半導体放射線検出素子としてこれまで使用されてきているSi(シリコン)は原子番号が14、Ge(ゲルマニウム)は32です。これに対してCdTeの場合、実効原子番号が50と大きく、SiやGeを使用した放射線検出素子に比較して、大きな放射線の吸収能力、すなわち検出感度が高いものとなります。

右図は、半導体検出素子であるSi、Ge、CdTeについて、100keVのエネルギーのX線を照射した場合の素子厚さに対する吸収率を示したグラフです。Si、Geに比較してCdTeの吸収が大きく、小さな素子厚さで、大きな感度が期待できます。

高検出感度

右図は、各厚さのCdTe素子の放射線のエネルギーに対する吸収率を示したグラフです。医療、非破壊検査などの分野で使用されるX線エネルギーは多くの場合200keV以下ですが、CdTeは数mmまでの吸収厚さを使用することで、充分な感度を得ることができます。

放射線検出素子の検出感度が高いことは、医療応用では大変重要な意味を持っています。センサーが高感度になる分、使用する放射線の線量を下げることができ、患者の被ばくを低減することができるからです。また、測定時間を減らせるのも大きなメリットです。

高検出感度

高エネルギー分解能

X線、ガンマ線などの放射線は、「線」とは言ってもエネルギーをもった「フォトン」と呼ばれる粒子です。結晶に吸収されたフォトンのエネルギーに比例した量の電荷が発生しますから、誘起された電荷量を測定することで、フォトンのエネルギーが判ることになります。

ところが、結晶の中で発生した電荷は結晶の中で移動中に再結合したり、不純物準位にトラップされたりすることにより、電極まで到達できないことがあるため、同じエネルギーをもったフォトンが入射しても、測定される電荷量すなわちエネルギーはある程度広がりをもったものになってしまいます。このエネルギーの広がりが小さいことを、エネルギー分解能が高いといいます。

ガンマ線源からの一定のエネルギーのフォトンを測定してできるエネルギースペクトルの半値幅(FWHM)の幅でこのエネルギー分解能を評価することが一般的です。

CdTe放射線検出素子の特徴のひとつとして、いろいろなアプリケーションに充分なエネルギー分解能があることがあげられます。環境測定などにおける放射線源核種の同定、蛍光X線などでの物質同定、医療用ガンマカメラでのエネルギーウインドウ設定による散乱線の除去による画像の鮮明化など、エネルギー分解能を生かした応用ができることになります。



高エネルギー分解能

室温動作

Ge半導体検出素子は、エネルギー分解能が最も良い放射線検出素子として知られています。

しかし、残念ながらGe半導体検出器は、液体窒素などで冷却しなければ使用できません。これは、Geのバンドギャップが0.67eVと小さいことにより、室温では熱で誘起される漏れ電流が大きいためです。

素子を冷却しなければならないことは、装置の大型化が避けられない他、フィールドでの使用に大きな制限を与えるものです。

一方、CdTeはバンドギャップが1.5eV と大きいため、室温での使用が可能になっています。このため、エネルギー分解能はGeには及びませんが、CdTe放射線検出素子は多くの新しい装置への応用が可能になるのです。

 

空間分解能

医療、非破壊検査、セキュリティなど放射線の応用では、多くの場合放射線を画像化して利用されています。もちろんのことですが、できるだけ輪郭のはっきりしたシャープな画像が要求されています。

放射線画像を得るための従来のフラットパネルは、シンチレーター層が、フォトダイオードなどの上に形成された構造をしています。放射線はシンチレーター層に吸収されることで光を発し、この光をフォトダイオードが検出することで電気信号に変えられます。このため、間接変換型検出器ということができます。  困ったことに、シンチレーターが放射線を吸収した際に発する光は全方向に向かって放射されますので、放射線が入射した位置の周囲のフォトダイオードも反応してしまいます。この結果、放射線画像には滲みが出てしまうのです。

一方、CdTe放射線検出素子では、CdTe結晶に照射された放射線は、直接電子、正孔という電荷に変えられますので、直接変換型検出器と呼ばれます。放射線の吸収によって発生した電荷は、電界に引かれて直接ピクセル電極に引き寄せられていきますので、信号の広がりがほとんど生じません。このためシャープな放射線画像が得られるのです。

高エネルギー分解能
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